日本語教師の年収はどれくらい?海外で働く場合は?
日本語教師として海外の方々に日本語を教える仕事ときくと、とても楽しそうでワクワクしますよね。でも生活していくことを考えると、年収はどれくらいになるのか心配になる方も多いのではないでしょうか。そんな方に向けて、今回は日本語教師の年収を、海外で働く場合やキャリアアップの方法とあわせて紹介します。チェックしてみてください。
日本語教師の年収
日本語教師と一口にいっても、就業場所や年齢、経験、そして正社員の常勤教員か非常勤講師かという雇用形態によっても大きく年収は変わってきます。インターネットの求人票などを参考にすると、正社員の場合だと月給は大体20万円からとなっていることがわかります。しかし、この金額は最低給与となるため、通常はこれに年齢や経験が考慮された額が加えられます。
一方、平均年収はというと、厚生労働省の賃金構造基本統計調査や口コミ情報などを参考にすると、およそ380万円とされています。しかし、これは給料とは別にボーナスなどが加算されるためです。
ボーナスの金額は就業先にもよりますが、月給の3ヶ月分程度のところが多いようです。もちろん、地域差や雇用先での差もあるため、平均年収の範囲としてはおよそ280万円〜450万円ほどであると考えられます。
次に非常勤講師の場合ですが、フルタイムで就業しないことがほとんどで、午前中だけ、午後だけといった勤務体制や、週に2〜3日程度の出勤などになります。そのため、給料は多くの場合時給制になり、正社員に比べて給料総額は低くなる傾向にあります。
こちらも就業先や出勤日数・時間数などによって差が出ますが、時給は1コマあたり1,500円〜2,000円程度となっているようです。また正社員とは異なり、授業のみの勤務となり、通常ボーナスなども支給されないため、年収にしておよそ150万円〜300万円程度になることが多いようです。
海外で働く場合の年収
海外で日本語教師として働く場合の給料の相場ですが、これは地域や国、就業先によってまったく変わってくるので一概にはいえません。しかし、現地で普通の暮らしができないほどの低い給料が支給されるということはなく、その国での生活に困らない程度の給与とされている場合が多いようです。
また、生活に困らないだけではなく、貯金ができる余裕はあるのかというところも気になりますよね。これも求人によって異なり、「生活費以外に充分に貯金ができる」というケースもあれば、「生活には困らないが、貯金ができるほどの余裕はない」というケースもあります。
求人に記載されている給料の額で、どれくらいの生活ができるのかというところまで想像しておく必要があります。そのために、まず現地の物価を下調べしておきましょう。
たとえば、タイなどの東南アジアで働く場合、「日本円にするとこの給料は低すぎる」と感じてしまうでしょう。しかし、そもそも日本とは物価が違うため、現地の物価で考えると充分高い給料として設定されていたということもあります。現地の物価、現地で必要な生活費、平均年収などを下調べし、その上で給料額を判断しましょう。
またその他にも、勤務時間や年間休日日数、福利厚生などもチェックしておくとよいでしょう。「給料が高いから大丈夫」と思っていても、実際は1日の働く時間が長かったなんてこともあるかもしれません。また、大学や日本語学校によっては長い休みを挟むこともあります。休みの期間とその間の給料の扱いについても確認しておくとよいでしょう。
海外で日本語教師として働いた場合の給与目安です。
アメリカ
時給:約$USD15~
月給:約$USD2,500~
アメリカの平均年収はUSD$69,392ですので日本語教師の給与は平均以下ということがわかります。そしてポケモンやゲームなどのポップカルチャーやアニメの人気により、日本語学習者は大きく増加しています。
しかしアメリカでは日本語ネイティブの教師が少ないため日本人による日本語教師の需要はあると考えられるでしょう。そしてアメリカ国内でもこれから需要の出てくる職業だと思うので将来性はあると思います。
オーストラリア
時給:約AUD$20~
月給:約AUD$3,300~
オーストラリアの平均年収はAUD$55,206です。その為オーストラリアで日本語教師として働いても給与は平均以下です。しかしオーストラリアは日本語学習者が約40万人いるといわれており、世界的に見ても4位と非常に多くの人が日本語を学んでいます。
オーストラリアでは約60人に一人が日本語を勉強している計算になります。
中国
月給:約7,000元~
中国は貧富の差が激しく収入の差が農村部と都市部では大きく違います。しかし2021年には中国国内の中核都市38カ所の求人票にある給与額の平均が1万元を超えたというデータがあります。
中国は日本語学習者1位です。日本企業への就職や日本のカルチャーなどにより人気を集めていますが、ここ数年は減少傾向にあります。また大学では外国語の選択肢に20か国以上が追加されたので日本語学習者は減ると予想されます。
韓国
月収:160万ウォン〜
韓国はアジアの中でも日本と交流が最も多い国といっても過言ではありません。飛行機を使って3時間で到着できるほど近く、日本への興味・関心がとても高い国です。
中には月給が20万円を超える求人もあり、日本語教師への待遇が非常に良いことが分かります。
タイ
月給:約30,000バーツ~
2019年のデータで、タイの平均月収は26,371バーツなのでタイで日本語教師は平均以上の収入を得ることができるでしょう。タイでの初任給が2万バーツ程度と言われているのでショッピングや外食も問題ないでしょう。
タイは日本語学習者が5位と多くポップカルチャーへの興味や、親日的感情が後押しして今後も増えるでしょう。
ベトナム
月給:約1,500万ドン~
2020年のベトナムの平均月収は423万ドンとなっています。日本円にすると約2万円で日本語教師の月収は約7万円ですので高給職といえるでしょう。
ベトナムは2016年に日本語が第一外国語に指定されました。小学校でも日本語教育が導入されていますので、日本語教師の需要も高いでしょう。
台湾
時給:25,000元〜
台湾の月給は日本円に換算すると8万7693円になります。気候が日本と似ていたり、親日であることから過ごしやすい国なのが特徴です。
しかし、日本語教師の数が多い国でもあるため、給料は比較的低めとなっています。
チリ
月給:US$600~
チリは日本の裏側に位置していることから、他国と比べて日本語教師は少なく、日本語の需要もそこまでありません。
一方で、国内の物価は日本とそこまで変わらないため、生活するのに苦労する可能性があります。
マレーシア
月給:RM4800~
マレーシアは日本と近い場所に位置しているため、日本語を学ぼうとする人がとても多いです。そのため、日本語教師の給料は世界でも第3位の金額となっています。
物価は安く、日本からの米・魚などを仕入れているため、とても暮らしやすい国です。
今回、全体的に日本語学習者の人数は増加しており、国ごとに見ても増加している国の方が多いことがわかりました。また働く国により、その国でどのように生活することができるのかイメージしていただけたかと思います。
現地の物価と待遇
日本語教師として生活していくには、現地の物価や待遇を知らなければなりません。こちらでは現地の待遇と物価について紹介していきます。
待遇
日本語教師の待遇は求人によって異なります。基本的には週3日~5日の求人が多いようです。
しかし、中には一日の勤務時間が長い求人も存在します。勤務日数に対して給料が多い場合は、勤務時間・残業などの待遇をしっかり確認しましょう。
物価
現地での日本語教師の給料は、国内の給料と比べるとどうしても低くなっています。現地の物価がどのくらいなのかは把握しておきましょう。
中国、タイ、ベトナムなどのアジア圏は物価が日本より低めとなっています。そのため、給料が日本より少なくても生活することが可能です。
逆に、アメリカなど日本より物価が高い地域では、生活するのが少し難しくなります。日本語教師として働く際には、アジアの国を中心に探してみるとよいかもしれません。
日本語教師の勤務時間は?
日本語教師の勤務時間は、働く国によって変わります。日本語学校で常勤として働く場合は、平日の9~18時あたりが一般的です。
一方で、非常勤講師だと週2~3日、1日あたり4~7時間になることがあります。業務量は勤務形態によって変わりますが、日中に授業の準備等を行うことが多いです。
また、最近ではオンラインを利用した授業も珍しくありません。国内での日本語教師はさまざまな業務があるものの、生活リズムを崩すことなく働くことができるのが特徴です。
つづいて海外で働く場合ですが、求人要項にはコマ数で募集していることがあります。1コマあたり40~50分、1週間で15~20コマあたりが一般的です。
1週間のコマ数を働くことが条件のため、日本と比べて勤務時間が決まっていないのが特徴です。しかし、海外は日本と比べて労働規制が定められていないことがあり、必要以上に残業をさせられる可能性があります。
国外のスクールで働こうと考えている方は、職場選びに十分注意しましょう。
日本語教師としてキャリアアップするには
方法①:主任教師になる
日本語教師は他の教師とは違って、教員免許が必要ありません。極論をいえば、誰でも日本語教師になることができます。だからこそ、まずは「専任教師」としての経験を積み、「主任教員」を目指してステップアップすることをおすすめします。
非常勤講師と正社員の給与は年間で100万円近くの違いが出ているため、給料を上げたい方は主任教師をめざすことをおすすめします。
主任教員とは、教育内容の確定、カリキュラムの編成、教員の育成などの業務を担う人であり、日本語学校は主任教員がいなければ設立できません。
主任教員になるためには、まず「専任教師として3年以上の経験があること」が条件とされます。この3年という期間は、日本語教育課程の編成が可能であることなど、専任日本語教師として充分な教育的知識や教務的能力を備えた人材になるために、最低限必要な期間とされています。
こうして専任教師から主任教員というふうにキャリアアップすることによって収入アップにもつながり、他の機関や海外への転職などの道も開けます。さらに、自分で日本語学校を新たに立ち上げる、教育コンサルタントとして起業するという選択肢もあります。
方法②:海外で勤務する
収入をアップさせる二つ目方法として、海外で働くという手もあります。給料は勤務先によって異なることが多いですが、待遇が充実しているケースが多いです。
給与金額は日本より欧米地域のほうが数万円近く高い傾向になっています。このように、将来的には日本での勤務と比べて給料が大きく変わることでしょう。同時に、海外で勤務することによって、現地の言語・文化を学ぶことができます。将来的に幅広い言語を扱えることで人材としても重宝されますし、職業の幅と収入が増えることにつながります。しかし、国によっては治安のよくない地域もあるため注意が必要です。時期で治安が変化する国もあるので、最新の情報を手に入れるようにしましょう。このように、海外勤務によって収入を上げることができる可能性があります。キャリアの幅を将来的に広めたい方は、海外で日本語教師として勤務することも視野に入れてください。
日本語教師の給料は、地域や国ごとの差、就業先での差などがあり、一概にはいえませんが、生活に困るほどではないということがわかりました。しかし、キャリアアップしていくにつれ、さまざまな選択肢が広がり、自分次第で年収をアップさせていくことができるといえるでしょう。この記事が少しでも参考になれば幸いです。