海外で日本語教師として活躍したい!海外で働く方法をご紹介!
独立行政法人国際交流基金が実施した2021年度海外日本語教育機関調査によると、日本語教育は141の国と地域で実施されており、学習者数はおよそ380万人と過去3番目の多さでした。海外での日本語教育の需要は高い水準を維持しています。本記事では、海外で日本語教師として活躍したい方に向けて、海外で働くための方法を紹介します。
海外で日本語教師として活躍するには
そもそも、日本語教師になるための資格とは何でしょうか。実は、日本語教師には必須の資格はありません(2022年11月現在)。小学校教諭の教員免許のように国家資格の取得が必要なわけではなく、極端にいえば誰でも日本語教師になれます。
とはいえ、アルバイトや個人レッスンなどであれば資格を問われない場合もありますが、語学学校などで働きたい場合は一定の条件を設けていることが一般的です。
日本語教師として求められる条件とは?
海外の語学学校で日本語教師になるための条件としては、日本国内で日本語教師になるための条件を求められるのが通常です。先に述べたとおり日本語教師に国家資格はありませんが、法務省の定めた教育機関で日本語を教える場合のガイドラインとして「日本語教育機関の告示基準」「日本語教育機関の告示基準解釈指針」などが設けられています。
ここで定められた条件とは「大学で日本語教育を主専攻(日本語教育科目45単位以上)または副専攻(日本語教育科目26単位以上)し、卒業した者」「日本語教育能力検定試験に合格した者」「4年制大学を卒業し、かつ、文化庁の認める420時間以上の日本語教育に関する研修を修了した者」「そのほか、上記と同等以上の能力があると認められる者」のいずれかに該当することです。
そのほかの必要なもの
海外で働く必要があるため、当然ながらパスポートやビザの発行が必要です。また、生徒とコミュニケーションを取るうえでも、生活するうえでも、現地の公用語はある程度身に付けておきましょう。また、現地の文化を理解しておくことも大切です。
海外で日本語教師として働く方法
日本語教師と一口にいっても、働き方としてはさまざまな形があります。海外の日本語教師の働く場所として代表的なものを紹介しましょう。
小学校・中学校・高校
学校教育の中でもっとも日本語教師の数が多いのが高校です。海外で日本語教師として働く場合の選択肢として、もっとも一般的といえるでしょう。中学校は高校に次いで一定数いますが、小学校は高校や中学校と比較すると6分の1程度の教師数しかいません。海外の小学校で働くことを希望する場合、国や地域を自由に選ぶというのは難しいでしょう。
私塾・個人レッスン
学校よりも小規模な設備で日本語を教えている場合もあります。おもに現地の社会人を相手に日本語を教えることになります。日本国内で日本語教師になるための条件を求められない場合もありますが、条件が緩くなるほど怪しい雇用主も増えるものです。私塾・個人レッスンの場合に限りませんが、働く先を選ぶ際は事前によく調べましょう。
ボランティア
海外にて短期で日本語教育に携わるボランティア活動に参加するという方法もあります。期間としては1週間から1か月程度の場合が多いため、日本語教師としての指導経験を積んだり、実際の教育現場を体験したりするにはよい機会といえます。
地域によって異なる日本語教師としての働き方
日本語学習者の内訳を地域別で見ると、アジアの学習者が全体の8割近くを占めており、残りがアメリカ大陸、ヨーロッパ、オセアニアです。このため、海外の日本語教師の働く地域としては、アジアとそのほかに大きく分かれることになります。同じ日本語教師であっても地域の違いによって働き方が異なるため、違いを簡単に紹介しましょう。
アジアでは実用性重視
東アジア、東南アジア、南アジアでは、日本語を学習する方の動機は日本への留学や就職など、実際に日本に来て日本語を話すことを目的としている場合が多い状況です。このため、学習者は日本語の習得に積極的であり、質の高い日本語教育を求めているといえます。
日本語教師としてのスキルの向上ややりがいを求める方には、よりよい環境といえるでしょう。日本語を学習する世代も子どもから大人まで幅広くいます。日本語の学習者数で見ると、上位3か国が中国・インドネシア・韓国となっており、需要自体も充分にあります。教育機関・求人ともに数が多く、自分の希望する働き方を選ぶこともできるでしょう。
欧米は趣味としての側面が強い
欧米における日本語学習者のおもな動機は、歴史や文学、観光といった日本の文化に関心を持った層が趣味のような形で学ぶというものです。アジアの学習者のように実用性を求めるというよりも、関心を寄せる歴史や文学をより理解したいという側面の方が強い傾向になります。アジアと異なり需要自体が高いわけではなく、日本語教師の競争率は高い状況です。
とくに、アメリカについては日本語教師の求人のほとんどがアメリカ在住者を対象としていることから、現在日本に住んでいる方がアメリカで日本語教師になるというのは非常にハードルが高くなっています。欧米で日本語教師として働きたい場合、求人に応募するよりも現地で日本語教室を開業する方がより可能性が高いとさえいえます。
まとめ
日本語教師として海外で働くための方法の紹介でした。現在のところ、日本語教師として海外で働く場合、欧米よりもアジアの方が実現性の高い範囲で選択肢が多くあります。学習者自身のモチベーションも高いため、教えることによる喜びも感じやすいでしょう。海外で日本語を教えたい方は、まずアジアに目を向けてみてはいかがでしょうか。